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旅人と幽霊2-4 [小説]

 旅人の少女は容赦なく骸骨の眉間辺りを撃ちぬいた。
 弾丸はいとも簡単に骸骨を貫通し眉間に弾丸サイズの穴をあけ後頭部の骨を砕き吹き飛ばした。
「さて、これで動き続けるようならば対処のしようがなさそうですね。」
「今のうちに逃げるというのは?」
 幽霊の青年の提案に少女は弾を換えながら答えた。
「そのほうがよさそうですね。出口は骸骨の向こう側ですし、起き上がる前に行きましょう。」
 少女は骸骨をよけるようにして出口へ走った。そして出口のすぐそこまでという所で少女の右足に痛みが奔りその衝撃で少女はバランスを崩し倒れた。
「――ッ!砕けた骨か!」
 少女の右足には砕けた骨の破片が刺さっていた。少女は破片を手で抜いて骸骨の方へ投げた。
「この様子じゃ、骨を粉にしても動いてきそうですね。」
「どうすんのさ?」
「決まってるでしょう、無駄弾くれてやる余裕はないんです。さっさと逃げます。」
 そういうと少女は目の前に転がり落ちていた骸骨の二の腕の部分を派手に蹴っ飛ばした。


「何とか逃げれたのでしょうか?」
 少女が息を荒げて木の陰で囁く。
「どうだろう、あいつ普通の人間と違って気配とかしないんだよね。」
「ていうか、あなた人の気配とか分かるんですか?初耳です。」
 少女達は結局あの後全速力で屋敷の外まで逃走しバイクで一気に800m先の公園の木陰に逃げ込んだ。
「実際問題あの骨の活動範囲がどこまであるかが問題ですよね。正直今日はもう暗いから移動したくないんですけど。」
「活動範囲なんてあるの?」
「さぁ、ですが何年もあの屋敷にいたのですからあそこからそこまでは離れられないのは確かだと思いますよ。」
「もしくは、ドアをあける事が出来ないのかも。そこまで人間らしき知能はなさそうだったから。」
「だといいですがね。とりあえず晩飯がまだです。いまから頂くとしましょう。」
 そういうと少女はさっき背負っていた大き目のかばんを床に置いた。
「そいうえば何それ。屋敷に入る時は持ってなかったよね。」
「このかばんですか?屋敷でくすねたものです。」
 そういって少女はかばんをひっくり返した。
 中からは大量の缶詰がでてきた。
「その缶詰って屋敷にあった奴?キミそういう所抜け目ないよねぇ。」
「これくらい普通です。そんなんじゃすぐ餓死しますよ?」
 そういいながら缶詰めの一つをあけ中の魚を食べ始めた。
「元々死んでるっつーの。それ喰えんの?」
「賞味期限を確認しましたが今年の終わりまでは大丈夫そうです。」
「そう、…結局さっきの骸骨はなんだったんだろうね?」
「さぁ?わたしに分かるわけないでしょう。」
 そういうと少女は食い終わった缶詰のゴミを近くのゴミ箱に投捨て寝転んだ。
「では、私は暫く寝ます。さっきの奴が来たら起こしてください。」
「了解。おやすみ。」
「はい、おやすみなさい。」




あとがき


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電撃文庫MAGAZINEの入間人間 [小説]

毎回電撃文庫マガジンに面白い読みきりを書いている入間人間ですが。

今回の『未来を待った男』は感動的でした。

感動的でしたっていっても泣ける話だったわけじゃないよ。

その手法に感激したってことかな。

詳しくは読んでみてほしいんだけど、やっぱり入間さんの小説は凄いね。

ほかの人にはまねできない独特の世界が広がってる。

僕は彼の小説を読んだ後、心の片隅に一抹の寂しさを覚える。

それほどまでに彼の世界に引き込まれているのだ。

ここまで僕の心を魅了した作家はおそらく入間さんだけであろう。

とても素晴らしい作品なので是非一度読んでみることをお勧めする。

それでは~。
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ソード・アート・オンライン7 マザーズ・ロザリオ感想 [小説]

とりあえずリアルに泣いた。

読んでる途中に涙が出たのなんてすごい久しぶりな気がする。

というか小説読んで泣いたのなんていつ以来だろ…。

何か最近サンレッドとか変ゼミとかそういうギャグ漫画しかよんでなかったからグッときた。

文字でしか伝わらない事ってあると思うんだ。

そりゃ、漫画やドラマみたいに、絵や映像があったほうが伝わりやすいよ。

それでも、絵や映像では絶対に伝えきれない物を小説では、伝えられると信じてる。
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旅人と幽霊2-3 [小説]

 少女が開いたフォルダは名前の通り日記だった。
「月毎にまとめてあるようですね。一番古い日記は…2020年。」
「世界がこんなになる五年程前か。」
 少女が2020/10と書かれたファイルを開く。
「読んでみますか。『22日、私は病気にかかってしまった。医者には夢遊病によく似た症状だと診断された。そしてもう一つ私はガンも同時に患ってしまったようだ。23日、私はもう長くない。しかし、一つ心残りがある。昨日書いた病気の件だが、夢遊病というよりはもう一つの自我が私の寝ている間に私の体を使っていると言ったほうがいいか。ともかくこの病気は夢遊病とは似て非なる物だ。具体的には死んだ後もこの病気は続く。さっき書いたもう一つの自我というのは私が死んでもお構いなしのようだ。治療法は現在見つかっておらず、死体の状態の患者は骨まで焼き尽くすしか止める方法はないそうだ。まぁ、これを見ている人間がいるとしたら私の死体に気を付けたまえ。』…。これを書いた人間は十中八九死んでいるはず、ですよね。」
 少女が息を飲む。そこで青年が青ざめた顔で振り返った。
「あ、あのさぁ、あの扉の所に転がってる骨ってもしかしてさ…。」
「さて長居は無用です帰りますか。」
 少女が表情を変えずにしかし普段より若干焦り気味に歩き始める。
「お、おい置いてかないでよ。」
 青年もその後に続く。少女は依然早足のまま扉の方へ歩いている。そして1mほど手前まで来たときに勢いよく扉が閉まった。
「!」
 少女が肩を強張らせる。
「あ~、俺の予言的中ですか?」
 扉は独りでに閉まったわけではなく、そこに転がっていた骸骨が起き上がっていた。
「あの、骸骨が扉を閉めたわけですね。私達を逃がすつもりはないと言う訳ですか。」
「それにしても君は骸骨を呼び寄せる力でもあるのかい?」
「あなたの時はそっちが見せ付けてきただけでしょうに。勝手に人を変人扱いしないでください。」
 そういいながらも少女は腰の銃(かなり古い回転式拳銃で完璧に少女の趣味である)を抜いている。骸骨はフラフラとした動きで夢遊病患者のように少女達に近づいてくる。
「撃ったぐらいで死ぬの?さっきの日記には燃やすとか何とか書いてあったけど。」
「そういうんだったらアレを燃やせるだけの燃料をバイクのガソリン以外から見つけてきてくださいよ。」
「少なくともこの家には燃料らしき物はなかったね。」
「そうでしょう。これは逃げるが勝ちです。」
 そういうと少女は容赦なく骸骨の眉間辺りを撃ちぬいた。

続く。

あとがき


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―旅人と幽霊―2-2 [小説]

「ここですね。」
 旅人の少女と幽霊の青年は明かりが点いていた屋敷の前まで来ていた。日はとっくに沈んでいた。
「本当に入るの?」
「今さら引き返すのですか?暗くなってから火を起こすのがどれだけ大変かあなたは分かっていないようですね。」
 少女が青年を睨む。
「あ~、いや、ごめん。で、入るの?」
「何をそんなに嫌がっているのですか?…まさか幽霊が怖いとか言いませんよね?」
「え、いや、そんなわけないだろ。」
 青年が顔を真っ赤にして反論する。
「本当に怖いんですか…。あなたも幽霊なんですが。」
「それはそうだけどさ…。」
「まぁ、大丈夫でしょう。発電機が動いているのだから人間もいるでしょう。」
 少女が屋敷の扉に手をかける。
 ギィと音をたてて扉が開いた。
「誰かいますかー。…ふむ、大声で叫ばないと駄目なようですね。」
「君、大声で叫んだ事ないでしょ。」
「そうですね。とりあえず、屋敷を探索してみますか。そうすれば人に会うこともあるでしょう。行きますよ。」
「適当だなぁ。」
 少女は一番玄関に近い部屋に入った。
「…、これは…」
「電気はついてるけど…とても人が住んでるようには見えないが…」
 少女が入った部屋は木製の家具は腐っており壁紙は虫食い、とても人が住める環境ではない。
「ふむ、他の部屋も見てみますか。」
「もう出ようよ…。」
 その後も少女は屋敷の中を見て回った。
「しかし、どの部屋も同じような感じですね。」
「そうだね、どこの部屋も人が住んでいるような感じじゃないし。」
「ん?この部屋はまだ入ってませんよね。」
 その扉は他の部屋の物よりも一回り大きかった。
「この扉…、ちゃんと手入れがされていますね。」
 少女が扉を開く。
「…、どうやら当たりのようですね。」
 少女の目に映ったものは手入れの行き届いた部屋。その奥には一台のパソコン。
「何でこの部屋だけこんなに綺麗なんだ?」
「さぁ?とりあえずあのパソコンが気になりますね。」
 少女はパソコンの前に立ち本体の起動ボタンを押す。
「動くの?」
「電気はあるので、壊れてなければ動くかと。…ほら、動きましたよ。」
 キュィィと音を立てながらパソコンが起動する。
 少女がマウスでパソコンを操作する。
「あ、なぁこれ。」
 青年が指差したのは一つのフォルダ。フォルダ名は『日記』
「ふむ、見てみますか。何か分かるかもしれませんし。」
そして少女はそのフォルダを開いた。

続く

続きにあとがき


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十万企画―旅人と幽霊―2 [小説]



 一台のバイクが川沿いの道を走っていた。操縦しているのは一人の少女、その傍らには幽霊の青年が一人。
「だいぶ日が沈みかけてきましたね。急いだほうがいいでしょうか。」
 少女らは野宿する場所を探していた。一人用のテントが張れるくらいの広さの平地が中々見つからないのだ。
「日が沈む前に野宿するための焚き火を点けたいところだけどね。テントは諦めたら?」
「そうした方が良さそうですね…。適当にその辺りにでもバイクを停めますか。」
 そうして少女がバイクを土手近くに停めようとした時だ。
「ん?ねぇ、あれ。あの家、灯りが点いてないか?」
 青年が指をさした先には一軒の大きな家があった。
「あの大きい家ですか?…確かに灯りが点いていると言えば点いてそうな気もしますね。」
「だろ?でも、おかしくないか?電気供給なんてとっくに断たれている筈なのに。」
 人類の大半が死んだのは十年以上前の話である。
「あれだけ大きな屋敷なのですから自家発電装置でもあるのでしょう。それよりも今夜は野宿しなくて済みそうですね。行きますよ。」
「やっぱり行くの?」
「当たり前です。自家発電装置が動いているという事は当然そこに人がいる訳ですから。」
そうして、少女達は屋敷に向かっていった。

続く

続きにあとがき


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同人的なあれ。 [小説]



 僕はゲームをしていた。テレビにはでかでかとホームランの文字が浮かんでいる。パワプロ君だ。
 プルルルルル、僕の携帯が鳴った。担当さんからだ。
「入間さん、原稿の件なんですが。」
「もう、終わりましたよ。」
「でしょうね。だって今ゲームの音が聞こえてますもの。」
「ふふふ、パワプロ君ですわ。すわすわ。」
 なんとなく自分のキャラの真似をしてしまった。案外似合ってなかった。もうやらない。
「ともかく、今から原稿取りに行くんで、次の原稿もよろしく頼みますよ。」
 もう、次を書けってか。別にいいけど…。
 担当さんとの通話が終わった僕はパソコンの前に座る。そろそろあとがき書かないと。
 自慢にならないが僕はあとがきが苦手だ。むう、本当に自慢にならん。
 僕の使っているキーボードはHキーがない。だからハ行は苦手だ。あまり使いたくない。
「あとがきかぁ。………またいつもどおりでいいか。」
 僕の最近のあとがきは小説的なもので埋まっている。よくこれで許可が下りたものだ。
「よっと。」タンタンタンタカタカタカ「こんなもんか。」
 僕は話を書くのは早い。
 うーん、なんか時間の流れが速くなっても締め切り守れそうな気がしてきた。
「さて、担当さん来るまで続きやるか。」
 こうして、僕はまたテレビとお見合いするのだった。
 全部まとめて、嘘だけど。

-fin-

続きにあとがき


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十万企画―幽霊と旅人― [小説]


 大きな川に一つの影があった。その長い黒髪の少女は川の上流にむかって歩いていた。
 年は16から18程度だろうか。その少女は黒いジャケットに黒いズボンを着ていた。
 暫く歩くと人影が見えた。男だ。その男の目線の先には骸骨があった。
 その男が少女に気づいて話しかける。
「見てごらん、コレ、僕の骨だ。」
 一人の青年が目の前の骸骨を見ながら隣の少女に話しかける。
「綺麗な骨格ですね。」
「そう言ってもらえると死んだ甲斐があったかな。」
 茶髪の青年はTシャツの上に薄手の上着、半ズボンを着ていた。年は20程度か。
「貴方の骸骨が目の前にあるという事は貴方は幽霊かなにかですか?」
 少女が問う。少女が口調の所為か少し大人びて見えた。いや、大部分がその顔が無表情であるのが原因だろうが。
「そうなのかもね。だからこんな格好でも寒くないのかもね。」
 季節はたぶん冬だろうか、少女の口からは白い吐息がもれている。
「それはそうと、君は旅人か何かかい?君ぐらいの年の子が腰に銃をぶら下げているなんて随分物騒だね。」
 男の言うとおり、少女の腰には大口径の回転式拳銃と大きめのポーチが一つ、それと小さめのポーチが三つ提げられていた。
「こんな時代ですからね。いつどこから襲われてもおかしくないでしょう。」
「今の時代の人はそんなことしないよ。みんな種を残したいからね。」
 男が言うと少女は「わかってます」と答えた。
「襲ってくるのは人じゃありません。―いや、たまに人も襲ってきますが、主に襲ってくるのは獣です。この辺りは出てこないようですが。」
「この辺りの獣は死んじまったからね、餌不足で。ほら、そこの川にも魚一匹いない。」
 男と少女の前にある骸骨。その先に大きな川があった。
「あれは確か多摩川とかいう川でしたっけ。元々魚なんて住めないくらいの水質だった気がしますが。」
 その少女の問いを男は否定した。
「川の水自体は綺麗なんだけどね。汚す人間はみんな死んじまったから。旅人さんも飲んでも大丈夫だよ。」
「昨日飲みました。それよりも川自体は綺麗なんですよね。では、何故魚はいないのですか?」
「まぁ、今やどこもかしこも川は綺麗だからね。この辺りまでは魚が来ていないんだろう。まぁ、あと五年もすればなんかの魚の群れが来るんじゃないかな。」
 そういって男はふと自分の骸骨に目を落とす。
「俺さ、生きてた頃は酷い人間だったんだ。なんでも周りに合わせてさ、必ず群れの中にいないと不安で仕方なかったんだ。」
「急にどうしたんですか。」
 少女が問う。
「できれば少し話しに付き合ってくれないかな?」
 男の頼みに、少女は少し考えて、具体的には日の傾き具合などを確かめてから返事をした。
「…まぁ、いいですよ。少しくらいなら。」
「そうか、ありがとう。―でさ、俺はそんな群れの中にいる自分が嫌いだった。でも変えることができなかったんだ。自分の居場所を失ってしまう恐怖感が俺を襲ってね。会社に入ってからも俺は周りに合わせた。上司に媚びた。完璧なイエスマンだったさ。まぁ、最後には会社を辞めてしまったけど。」
「どうしてやめたのですか?」
「さぁ、どうしてだろう。馬鹿らしくなったのかな、こんな時に仕事してる俺って何なのかなって思ってさ。」
 男は溜息を一つ吐いてからまた口を開いた。
「結局その後すぐに死んだんだけどね。何もない人生だったよ。だけどね、死んでからいいことがあったのさ。」
「何です?」
「僕は自分で自分の事を周りに合わせるだけの腹黒い人間だと思ったんだ。だけど、ほら、見てよ。僕の骨はこんなに白かった。それが嬉しくてね。」
「内臓は黒かったかもしれませんよ。」
 少女が無表情のまま淡々と述べる。
「ははっ、手厳しいね。」
「それで、こんなところでずっと何をしているんです?」
 少女が問うと男は少女の方に向きなおしてから答えた。
「人を待っていたのさ。僕の死体を見てくれる人を、死んだ時からずっとね。」
 男は続けた。
「僕が生という束縛から解放されたことを誰かに知って欲しかったんだ。そこに君が来た。」
「だけど、今の貴方は自分の死体に縛られているように見えますが。」
「そうさ、だからそろそろ解放されたいと思う。旅人さん一つお願いがあるんだ。」
「何ですか?」
「この骸骨の頭をその銃で撃ち壊してくれないかな。そうすれば僕は解放される。」
 少女はやはり、無表情で答えた。
「却下です。弾の無駄です。」
「あはは、やっぱり手厳しいな。」
「まぁ、壊す程度の事ならやってあげても良いですよ。」
 そういって少女は小さいポーチから金属製の円柱状の物体と大きめのポーチからドライバーのようなものを取り出した。
 円柱状の金属はよく見ると真ん中に穴が開いていた。ドライバーの先はネジのようになっていた。
「それは?」
 男が聴いた。
「携帯用の金鎚です。先端と取っ手が分かれます。」
 そういって少女は金属をドライバーのネジの部分にくっつけた。
「これで壊すのならいいですよ。」
「そういうことか、頼むよ。」
 その言葉を男が言ってすぐに頭蓋骨が派手に砕けた。
「これでいいですか?」
「ああ、ありがとう、これで僕は自由だ。何かお礼がしたいな…、そういえば君は徒歩だったね。僕のバイクあげるよ。はい。」
 男が自分の上着のポケットから鍵を取り出して少女に放った。
「―――っ!」
 少女が手を伸ばして鍵を取ろうとしたらすり抜けて少女は転びかけた。
「そういえば、僕は幽霊だったね。ごめんごめん。本物の鍵ならその骸骨が着ている上着の右ポケットに入ってると思うよ。」
「そういうのは先にいってください。」
 少女が骸骨の上着に手を伸ばす。
「…本人の前で死体を荒らすのって変な気分ですね。」
 少女が鍵を取り出しながらいった。
「そうかい?ああ、バイクならここからさらに上流に進んだところに住宅街への道があるから、そこの黒い屋根の家にあるよ。」
「随分とアバウトですね。まぁ、いいですが。」
「………それじゃあ、僕は行くよ。これで晴れて自由だしね。」
 男の体が透けていく。
「ええ、それじゃあ。」
「うん、さよなら。」
 そして、男は消えた。
「……………」
 そして、少女は、また川の上流へ歩き始めた―――




「で、なんで貴方がここにいるんですか?」
 普段は無表情の少女が珍しく眉根をよせている。
 結局、少女は男の残した案内がアバウトすぎて家を見つける事ができずにいた。そのため住宅街の近くの公園で野宿しようとしていたのだが。
「いやぁ、晴れて自由の身になったわけだしさ。」
 公園にいたのは先刻消えたはずの男だった。
「成仏したのではなかったのですか?」
「馬鹿だなぁ、せっかく自由になったんだ。もう暫く幽霊ライフを楽しむよ。それよりもこんな所で何してんの?」
「貴方のバイクがある家を特定できなかったので、今日はここで野宿にしようと思ったんです。」
「それなら僕が…、いや、旅人さんまた一つお願いしてもいいかな。」
「今度は何です?」
 男は、一度深呼吸してから口を開いた。
「僕も旅について行っちゃだめかな?」
 少女はもう一度眉根をよせた。
「…何故です?」
「ほら、僕さ自由になったじゃん。で、なにしようかなぁって思ったらやっぱり自由イコール旅かなと。」
「却下です。何ですかその理屈。いい加減にもほどがあります。」
「そうかい、つれてってくれるなら、バイクのある家に案内しようと思ったのに。」
 その言葉に少女の眉がピクリと反応した。
「バイクがあれば多くの荷物が詰めるし。何よりその家に行けば今日の晩は雨風をしのげる屋根の下で眠る事ができるんだけどなぁ。」
「さて、早速バイクのある家に案内してもらいましょうか。相棒さん。」
 少女が無表情のまま口を開いた。
「変わり身早いね。まぁいいけど。」
 男が「こっちだよ」と公園の北口へ向かい少女もその後に続いていった―――

 翌日、大きな川に一つの影があった。そのバイクに跨った少女とその少女に取りついた男は川の上流に向かって走っていくのであった。

 ―終―

続きにあとがき


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というわけでSAOの感想。 [小説]

つーわけでSAO感想です^^;

遅れました。すいませんm(_ _)m

前々から友人に勧められていたのですがいつものごとく敬遠していたところ、

電撃の雑誌で連載されていた4コマが面白かったので試しに一巻買ってみたところドツボにハマり次の日に全巻購入しましたw

主だった感想は続きに…。(ネタバレ有り)

続きを読む


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SAOおもすれぇwww [小説]

ソードアートオンラインの4コマ読んで面白かったんで原作全巻買って来たZE!

5巻wwwwwww最高じゃないか!

KI☆RI ☆TO!KI☆RI☆TO!って叫びたくなりましたね。

詳細は後日。それでは~。
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